漢方治療エビデンスレポート
日本東洋医学会EBM委員会エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース
12.
皮膚の疾患
文献
久木田淳, 原田昭太郎, 藤澤龍一, ほか. 乾癬のステロイド外用療法におけるTJ-114 (柴苓
湯) の併用効果の検討. 臨床医薬 1991; 7: 927-36. CENTRAL ID: CN-00716584, 医中誌 Web ID: 1992091847 MOL, MOL-Lib
1. 目的
乾癬のステロイド外用療法における柴苓湯併用の有効性を評価
2. 研究デザイン
ランダム化比較試験 (封筒法) (RCT-envelope)
3. セッティング
防衛医科大学、昭和大学、東京慈恵会医科大学、東京女子医科大学、東邦大学、日本
大学など、6つの大学病院と8つの病院の皮膚科
4. 参加者
15歳以上の尋常性乾癬の患者104名。重症度は問わないが試験開始時に薬効を判定し
うる程度の皮膚症状のある患者。除外基準1) very strong以上のステロイド外用剤を試
験開始2週間前まで使用、2) 重篤な合併症、3) 妊婦、授乳中の患者、4) エトレチナー
ト、メソトレキセートの使用歴、5) その他医師が不適当と判断した者
5. 介入
Arm 1: B群。0.12%吉草酸ベタメタゾン軟膏+ツムラ柴苓湯エキス顆粒9.0g 分3 (毎
食前) 内服。12週間。
Arm 2: A群。0.12%吉草酸ベタメタゾン軟膏 (リンデロンV軟膏またはベトネベート軟
膏) 単独投与。1日2-3回塗擦。被髪頭部ではリンデロンVGローション使用。
12週間。
6. 主なアウトカム評価項目
(1) 掻痒、紅斑、鱗屑、浸潤・肥厚の各症状の程度を5段階評価 (4: 高度、3: 中等度、2:
軽度、1: 軽微、0: なし) 。観察日は試験開始日、4週後、8週後、12週後
(2) 臨床検査: 血算、血液生化学、尿一般検査を試験開始時と最終観察日に。
(3) 全般改善度: 6段階評価 (治癒、著しく改善、かなり改善、やや改善、不変、悪化)。
試験開始日と比較し各観察日に判定
(4) 安全度: 試験期間中に発現した副作用および臨床検査値の異常値から4段階評価 (1:
安全性に問題なし、2: 安全性に多少の問題あり、3: 安全性に問題あり、4: 安全性に
非常に問題あり)
(5) 有用度: 全般改善度と安全度を総合的に5段階評価 (1: 極めて有用、2: 有用、3: やや
有用、4: 有用とは思われない、5: 好ましくない)
7. 主な結果
104名中A群49名、B群55名であったが、「来院せず」「服薬不良」などでA群4名、
B群7名が除外症例となり、A群45名、B群48名の計 93名が解析対象となった。症
状別重症度は、開始時に両群に差はなかったが、B群がA群よりも12週後に紅斑と鱗
屑で有意 (P<0.05) に改善し、掻痒、浸潤、肥厚についても軽快傾向 (P<0.1) であった。
全般改善度はB群がA群よりも4週後に軽快傾向を示し (P<0.1) 、12週後は有意に改
善 (P<0.01) した。最終改善度でもA群52.5%、B群73.9%とB群が優れていた (P<0.1) 。
全般改善度と安全度 (下記参照) を総合的に評価した有用度ではA群44.2%、B群63.8%
で、B群が優れていた (P<0.1) 。
8. 結論
乾癬に対するステロイド外用単独投与よりも柴苓湯の併用療法の方が有効であること
が示唆される。
9. 漢方的考察
漢方薬の選択については随証投与でなく病名投与、と著者は記述
10. 論文中の安全性評価
A群では認めず、B群では2名に胃部不快-胃腸症状。臨床検査ではB群の1名に一過
性肝障害を認めた。
11. Abstractorのコメント
難治性乾癬への試みとして、よくデザインされた質の高い RCT。ブラインド化がなさ
れていないが、外用と内服併用の比較のため工夫を要する。さらなる研究の発展を期
待する。
12. Abstractor and date
鶴岡浩樹 2008.4.20, 2010.6.1, 2013.12.31